2018年度イタリア・ベルギー・オランダ研修旅行報告/前編(フィレンツェ〜アントワープ)

10/25、11日間に及ぶ海外研修旅行が終了しました。今回はジュエリーコース17名(大阪校4名)、シューズコース10名の計27名の学生がヨーロッパの文化と空気に触れてきました。

この旅行はイタリアで伝統を継承してきた金属加工と革加工に触れ、中継点のベルギーでは世界遺産を堪能し、オランダで最先端のテクノロジーとデザインの今を感じる旅行となりました。

長くなりますので、前編・後編と分けて掲載します。まずは、前編をお伝えします。

はじめにイタリアでの活動から紹介します。

異国の街を観察しながら歩くのも旅の醍醐味。

どこを見ても珍しいものばかり。

街の中心ドゥオモ広場にて。

ヴェッキオ宮殿。石の重厚感に圧倒されます。

街路から見えるドゥオモ。

ドゥオモ広場の礼拝堂。昼間とは違った美しさを醸し出しています。

シニョーリア広場のメリーゴーランド。

夜になると道端には似顔絵描きも。

Sacred Art School(神聖芸術学校)。ここは、教会に設置されている宗教絵画や彫刻、儀式に使われる金属製品を手がける技術者を育成する学校で、基礎となる人体デッサンや絵画、彫塑、彫金などを学びます。学校には、直接教会からの注文が入り、それを教授や学生が協力して製作するそうです。

Sacred Art Schoolまでの公園の道。

校長先生の学校案内。デッサンの大切さを学生も感じた様子。

実物大の人体像のためのマケット(模型)についての説明。

村瀬先生の日本語通訳にも熱が入ります。

小さいスケールで作られた模型を拡大するためのシステムについて彫刻学科の教授が説明してくれました。

伝統的な宗教絵画に現代の要素を取り入れて表現している学生の作品。

金属加工のアトリエでは普段自分たちの使っている工具類を親しみを持って見ていました。

打ち出し加工の作品

学校紹介のレクチャーでは、学校の成り立ちやキリスト教についてのお話をしていただきました。

実際に教会より依頼のあった十字架のCAD図面で説明を受けました。

十字架の製図(表)

実作(表)

十字架の図面(裏)

実作(裏)

歴史と伝統、そして宗教の思想を重んじる学校で貴重な体験ができました。

Sacred Art Schoolのそばでやっていたマーケットにて。

Paolo Penko Shop & Atlier。(http://www.paolopenko.com)彫金師であるパオロ・ペンコさんの工房兼ショップを希望者で訪れました。パオロさんは大変気さくな方で製作途中の洋彫りの仕事やジュエリーを快く見せてくれました。作業机の上には学生たちが普段使ってる工具とはちょっと違ったものがいくつもあり、皆興味津々でパオロさんに質問を投げかけていました。授業やゼミで洋彫りを経験しているジュエリー高学年の学生には、その卓越した技術と感性に強い刺激を受けたのではないでしょうか。

お昼休み時間が明けるのを店の前で待って。

とても気さくでサービス精神旺盛なパオロさんの話に皆興味深々。

作業机の上には見慣れた工具がたくさん。

カメオなどの細工物も展示されていました。

ひとしきり説明と質問を終えてハイチーズ!

Stefano Bemer Shop & Atlier。(http://stefanobemer.com)ビスポークシュー(注文靴)メーカーステファノベーメルさんのショップ兼工房。3年前に亡くなったステファノさんの意思を受け継ぎ、そのものづくりを続けるとともに社屋2階では教室で若手育成を手がけています。ここでは、日本人職人の井俣久美子さん(フィレンツェ在住12年)が参加した学生に向けて、Stefano Bemerの靴作りについて、その理念、素材、構造、作業工程を丁寧に解説くださいました。学生幸は職人のもの作りに対する真摯な向き合い方に感銘を受けていたようです。

200年前に沈没した貨物船から引き上げられた革を再生して作られたオックスフォードシュース。1足約100万円する逸品。あと2足分の革しか残っていないそうです。

木製の靴箱。使われている革が靴の形に切られて貼ってあります。にくい演出です。

ドイツ製のワニ(靴作りに欠かせない吊り込み道具)とナイフもかっこいい。

一階のショップ内のワークショップ。お客さんはその場で作業を見学できます。

お店で扱っている革のストックについても丁寧に説明していただきました。

お店の前で、ハイ、パシャリ。

Simone Taddei Shop & Atlier。(https://taddeifirenze.squarespace.com)革小物製作の3代目となるシモーネ・タディーさんのショップ&工房。植物タンニン鞣し(植物から抽出した渋エキスによる鞣し加工)の革を型に幾重にも重ね形作られた革小物たち。ステッチを一切使わずに貼り合わせ、そのハギ目はほとんどわからない精緻な完成度と美しい仕上げ。説明を聞いている学生もそのすごさに圧倒され、参加者は皆思い思いに商品を購入していました。

店内の暗めの照明も商品に合っていました。

形を作るための様々な木型。

シモーネさんが学生時代に描いたデッサンもウインドーに飾られていました。

学生に問いかけながら作業工程をしてくださったシモーネさん。

完成度の高い、コインケースや小箱たち。

自身に満ち溢れ、楽しんで作っているシモーネさんに未来の自分を重ね合わせて学生もいたのではないかと思います。

フィレンツェでは希望者によるオプショナルツアーとしてウフィッツィ美術館、アカデミア美術館でそこでしか見られないルネッサンス芸術に触れ、自由時間にはフェラガモミュージアム、グッチガーデンなどで高級ブランドのエッセンスを感じてきたようです。

続いて、ベルギー。こちらは次に行くSONS(Shoe Or No Shoes)というシューズミュージアムへ行くための中継地点として一泊しました。細長い可愛らしい建物が型を寄せ合ったような街並みはフィレンツェとは違った魅力を発揮していました。中でも世界遺産に登録されたグランプラス(王室広場)は流石に圧巻。ため息なしには見られない幻想的で美しい光景でした。希望者はシュルレアリスムの画家ルネ・マグリット美術館も見学し、小学校の美術の教科書にあった絵画を生で見ました。もちろん、ベルギーといえばワッフルとビールは欠かせませんが。

このような風景の中でマグリットのシュールな絵画が生まれたのも納得です。

夜になって世界遺産のグランプラスへ。

グランプラスのパノラマ。

これも外せません。

朝散歩で訪れたホテルから徒歩20分ほどのサンミッシェル大聖堂。時間は朝7:30でも真っ暗な中に浮かび上がっていました。

教会は24時間出入り自由で、祈りを捧げる人々の心の拠り所になっているようです。

手の込んだ宗教具も展示されていました。

 

ブリュッセルからバスで1時間半、ちょっと片田舎に突如として現れる近代建築。それがSONSです。オーナーのWilliam Habraken(ウイリアム・ハブラケン)さんが長年にわたって世界各国から集めた“靴”約3000点が美しいショーケースに陳列されています。それぞれの地域の文化とその土地の環境に求められる機能を形にしたそれぞれの靴についてオーナー自らエピソードを交えて熱く語っていただきました。

ジュエリーコースの学生もその説明を熱心に聞き、デザイン性や機能性からジュエリーに繋がる「何か」を見つけたようです。

一面草原の田舎町に突如と現れる現代的な建造物。これがSONS(Shoe Or No Shoes)。

学生たちに熱弁を振るうハブラケンさん。靴への愛情を感じます。

もちろん日本のコーナーもあります。

こちらも日本。同じ機能を持っていてもその国の風土や習慣でデザインも様々。

韓国の湿地帯などで履くための木靴。日本の下駄に似ています。

革を使った中国のブーツ。シンプルで美しいフォルム。

デンマークの革のブーツ。

クリスチャン・ルブタンのショートブーツ。透明の素材の中にはお菓子の包み紙や糸やリボン、切手などの旅を連想されるものが詰まっています。

デザインにセクシャルな意味を持つアメリカのパンプス。

現在のパトリックのスニーカーの原型とも言えるサッカースパイク(1979)

パトリックの陸上短距離用シューズ(1983)

アディダスのYeezy Boost750(2015)

同ミュージアムには、オーナーが依頼した200名以上にアーティストが「靴」をイメージして作ったアート作品も展示され、所蔵作品の奥行きの深さを感じられます。

アートワークの展示されている大きな棚。地下の暗い展示室とのギャップも面白い演出です。

見学後は、いただいたカタログにオーナーがサインをしてくださいました。

途中合流して来たアントワープ王立アカデミーの学生とハブリケンさんを交えての記念撮影。

SONSからエイントホーヘンヘの道すがらアントワープの王立アカデミーにNedda先生を尋ねました。多くの有名ファッションデザイナーを排出している同校を案内していただきました。ジュエリー、絵画、版画、彫刻などのアトリエでは学生が思い思いに熱心に自分の作業に取り組んでいました。

ちょうど石座のデザインと試作を作っていました。

 

黙々とロウ付け作業を続けるジュエリー科の学生たち。

左手でロクロを回しなが均一に過熱していました。

ここではネイビーの作業着がユニフォームになっているようです。

廊下。天井のアーチはまるで教会のような趣で心が落ち着きます。

通路に展示された作品を被りつくように見る学生たち。本当に勉強熱心です。

食堂もおしゃれなカフェさながらの雰囲気です。

アイデアやデザインに思いを巡らせるのにぴったりのリラックススペース。

30名でぞろぞろと各教室を見学して回りました。

学生作品を見学。

作業しやすそうな鍛金の教室。

ちょうどヌードデッサンが終わったところでした。

版画科の教室。

彫刻科の教室。

学内見学を終えて、Nedda先生の案内で街の中心へ。

工事中のアントワープ市庁舎。本来の姿は防塵シートにプリントされていました。

市庁舎前にあるブラボー噴水。アントワープの名前の由来になった巨人とその巨人の手を切り落としたヒーロー伝説をモチーフにしたもの。現在、噴水は止まっていました。

そのヒーロー像を真似て、一枚。

日本でもおなじみのフランダースの犬はここアントワープが舞台。ただ、現地では日本ほど有名ではないそうです。パトラッシュはどうもセントバーナードではないようですね。

研修旅行・前編(フィレンツェ〜アントワープ編)はこれにて終了します。後編(エイントホーヘン〜アムステルダム編)は近日公開しますのでお楽しみに。

 

murase & nagao (NAGAO)